前職の話(24) 社印がない。
お金を稼ぐため、出向さんは翌日から同業さんに貰った仕事の現場へ行っていた。
即金でくれるらしい。
私はというと、短期間で強いストレスがかかったせいか微熱と夜間に高熱…の繰り返しだった。
しかし退職の強い意思があったため、とりあえずの生活のために、雇用保険の失業給付の受付ができないかと考えた。
会社は自宅の隣の市だったので、まずは自宅のある地域のハローワークで退職の時に会社が作成する書類について聞きに行った。
すると用紙を出してくれ、分かりやすいパンフレットもくれた。
書き方は、今まで退職したときに見た事があるためなんとなくは分かった。
会社の現状と社長がいないので、社印が押せない(法律に抵触する可能性があると労基で言われた)という事を説明したが、その判断は会社の管轄のハローワークでしか出来ないとの事だった。
その足で車を運転し、会社の管轄のハローワークへ行き同じ説明をした。
窓口の人は新人らしく、話が余り通じておらず、社印を押してこいの一点張りだった。
私はまた労基に相談しに行った。
すると、ハローワークから労基の担当者に連絡を入れてくれれば説明してあげるよと言われた。
私はまたハローワークへ行き、労基に連絡してくれるよう話をしたが頑として連絡先すら聞いて貰えない。
このままではどうしようもないと思い、出向さんに連絡を取った。
出向さんも退職してしばらくは失業給付を貰いながら生活を立て直したいとの事だった。
なのでこのままでは書類が受理されず、失業給付も貰えない事を告げた。
すると金曜日にハローワークで会うことになった。
その時に会社に寄って社印を持ってきて貰うようお願いをした。
誰が見ているか分からないので、あまり会社に近づきたくは無かったが、会社に寄って来てくれた。
すると社印は金庫になかった。
出向さんはその事をバイト事務員に電話して聞くと、なんとバイト事務員が自宅へ持って帰っているという。
勝手に押されたら嫌だからとの事だった。
バイトなのに勝手に社印を持ち出すとは、一体どんな神経してるんだと思ったが、これは困った。
私が言うとややこしくなるだろうと思い、ここは口が上手い出向さんに託す事にした。
ハローワークで貰った書類に先に社印を押して貰う事にした。
出向さんは上手くバイト事務員に社印を貰ってくれたが、何故かギリギリの枚数しか押して貰えず、社印はまたバイト事務員が持ち帰ったそうだ。
出向さんが言うには、バイト事務員も退職の書類を作って一緒に出しに行きたいと言っていたそうだ。